古い蜂の巣を軒下や庭で見つけると、「この巣は翌年また使われるのか」「撤去した方がいいのか」と気になると思います。結論からいうと、スズメバチやアシナガバチでは、前年に使われた古い巣を翌年そのまま再利用することは基本的にありません。冬になって空になった巣へ、翌春に女王蜂が戻って生活を再開するわけではありません。
ただし、ここで注意したいのが「古い巣は再利用しない=同じ場所には二度と巣を作らない」ではないことです。実際にBee Huntersでは、何年か前に巣ができた換気口や、約10年前に営巣した軒下へ再び新しい巣が作られた現場を経験しています。今回は古い蜂の巣と翌年の営巣について、この違いを中心に解説します。
古いスズメバチの巣は翌年また使われる?
スズメバチの巣は基本的に1年限りです。春になると越冬した女王蜂が新しく巣作りを始め、働き蜂が増えるにつれて巣が成長します。そして冬になると、その年に使われていた巣は空になり、翌年に同じ巣が再利用されることはありません。
千葉市も「スズメバチの巣の利用は1年限りで、再利用されることはありません」と案内しています。川崎市も、冬になるとミツバチ以外の巣は空になり、その巣を翌年使うことはないと説明しています。
そのため、冬に古いスズメバチの巣を発見し、周囲にも巣の表面にも蜂がいない場合、「来年この巣へスズメバチが戻ってくる」と考える必要はありません。
まず整理したいポイント
- スズメバチの巣は基本的に1年限り
- 古い巣そのものを翌年再利用するわけではない
- 翌春の女王蜂は新しく巣を作り始める
- 古い巣が残っていても、それだけで活動中とは限らない
- ただし同じ場所に新しい巣が作られることはある
では、なぜ同じ場所にまた蜂の巣ができるのか
ここが一番混同されやすい部分です。古い巣を再利用していなくても、過去に営巣した場所の周辺へ別の女王蜂が新しい巣を作ることはあります。
理由として考えたいのは、古い巣そのものより「その場所の条件」です。例えば軒下なら雨風を避けやすい場所があります。換気口や建物の隙間なら、蜂が入れる開口部と、その奥に営巣できる空間が残っている場合があります。
過去に蜂が巣を作れたということは、少なくともその時点では営巣できる条件があったということです。その条件が何年経っても変わっていなければ、別の蜂に再び選ばれる可能性があります。
つまり、再発を考えるときは「古い巣を残したから蜂が戻った」と単純に考えるのではなく、雨を避けられる、侵入できる、巣を作れる空間がある、といった環境や建物側の条件を見ることが重要です。
実例① 沼津市|数年前と同じキッチン換気口に再び巣
2026年8月16日に沼津市で対応した現場では、戸建て住宅のキッチン換気口にコガタスズメバチが営巣していました。この場所は数年前にも蜂の巣ができたことがある場所でした。
今回重要だったのは、昔の巣を蜂が再利用したわけではないという点です。同じ換気口が、新しい巣を作る場所として再び選ばれていました。
そこで今回は巣を駆除して戻り蜂対策をしただけで終わらせず、換気機能を残した状態で外側にネットを取り付けました。目的は、蜂が同じ換気口から内部へ侵入することを物理的に防ぐことです。
この現場を見ると、再発防止では古い巣だけを気にするより、「蜂がなぜここへ入れたのか」を考える方が重要だと分かります。侵入口がそのままなら、古い巣を撤去していても新しい女王蜂に利用される可能性は残ります。
実例② 御殿場|約10年前と同じ軒下にキイロスズメバチ
2026年7月27日に御殿場で対応した現場では、戸建て住宅の軒下に20〜40cmほどのキイロスズメバチの巣が作られていました。
お客様によると、この場所には約10年前にも蜂の巣が作られたことがありました。かなり時間が経っているにもかかわらず、再び同じ場所が営巣場所として選ばれたケースです。
現場で感じたのは、風や雨を避けられる軒下という環境です。これ結構あるんですよね。過去に巣ができた場所を確認すると、「ここ蜂が好きそうだな」と感じる条件がそのまま残っていることがあります。
この現場では2階まで上がって巣を取り除き、作業後に忌避剤を散布しました。約10年前の古い巣を再利用したのではなく、長い時間が経っても営巣しやすい環境が残っていたことを考えさせられる現場でした。
古い蜂の巣は撤去した方がいい?
活動が完全に終わったスズメバチの古い巣については、「翌年使われるから必ず撤去しなければならない」というものではありません。千葉市も、周囲に蜂がいない場合や冬期の巣については心配する必要はないと案内しています。
ただし、撤去することには別の意味があります。古い巣を取り除けば、その場所を確認しやすくなり、翌年新しい巣が作られた場合にも変化へ気づきやすくなります。また、換気口や建物の隙間なら、巣を撤去する機会に侵入口や周囲の構造を確認できます。
一方で、「古そうに見える」という理由だけで活動終了を判断するのは避けたいところです。季節や蜂の出入りを確認せず、活動中の巣へ近づいて撤去しようとするのは危険です。
注意点
古い巣に見えても、蜂が出入りしている場合は活動中の可能性があります。巣を叩く、棒で落とす、近くで長時間確認するといった行動は避けてください。「色が古そう」「少し壊れている」だけでは、空の巣とは判断できません。
古い巣を撤去するだけでは再発防止にならない
再発防止で重要なのは、古い巣を取ることだけではありません。過去に営巣した原因が残っていないかを見ることです。
- 換気口などに蜂が入れる開口部が残っていないか
- 外壁や建物に侵入できる隙間がないか
- 庭木が大きく茂り、内部が確認しにくくなっていないか
- 雨風を避けられる場所を定期的に確認しているか
- 過去に巣ができた場所で蜂の出入りが始まっていないか
Bee Huntersの現場でも、ネットで侵入口を防いだケース、コーキングで隙間を塞いだケース、庭木を剪定して環境を整えたケースがあります。場所によって原因が違うため、対策も同じではありません。
古い巣を撤去して終わりではなく、「なぜこの場所が選ばれたのか」を考える。これが同じ場所への再発を考えるうえで大切な視点です。
過去に巣ができた場所は春から確認する
前年や数年前に蜂の巣ができた場所が分かっているなら、翌年は春からその周辺を時々確認しておくと変化に気づきやすくなります。
スズメバチでは春に女王蜂が新しい巣作りを始め、働き蜂が羽化すると巣が成長していきます。最初から大きな球形の巣が突然現れるわけではありません。
軒下、換気口、庭木、戸袋など、過去に営巣された場所を覚えておくこと自体が一つの予防になります。「去年の巣をまた使うか」を心配するより、新しい巣作りが始まっていないかを見る方が実際の対策につながります。
今回学んだこと
沼津市では数年前と同じ換気口、御殿場では約10年前と同じ軒下に新しい巣が作られていました。こうした現場を見ると、「古い巣を再利用すること」と「同じ場所が再び選ばれること」は分けて考えなければならないと改めて感じます。
古い巣そのものより、その周辺に残っている環境を見る。侵入口なら塞ぐ、庭木なら整える、過去の営巣場所なら春から確認する。現場ごとに原因を考えることが再発防止につながります。
よくある質問
Q. スズメバチは前年の巣を翌年また使いますか?
基本的に使いません。スズメバチの巣は1年限りで、翌年は新しい女王蜂が新たに巣作りを始めます。ただし、前年と同じ軒下や建物周辺へ新しい巣が作られることはあります。
Q. 古い蜂の巣を残すと新しい蜂が入りますか?
スズメバチが古い巣そのものを翌年再利用するわけではありません。ただ、同じ場所に雨風を避けられるなどの条件が残っていれば、その周辺へ別の女王蜂が新しい巣を作る可能性はあります。
Q. 冬に見つけた古い蜂の巣は危険ですか?
スズメバチでは冬に活動を終えた巣は空になります。ただし、見た目だけで活動終了を判断せず、蜂の出入りがないか確認してください。蜂が出入りしている巣には近づかないことが重要です。
Q. 古い巣を撤去すれば翌年は巣を作られませんか?
撤去だけで翌年の営巣を防げるとは限りません。換気口の開口部や建物の隙間、茂った庭木など、その場所が選ばれた条件が残っていれば、新しい巣が作られる可能性があります。
Q. 何年も前に巣ができた場所でも再発しますか?
あります。御殿場の現場では、お客様によると約10年前にも巣があった軒下へ新しいキイロスズメバチの巣が作られていました。長期間空いていても、環境条件が残っていれば再び選ばれることがあります。
Q. 同じ場所への再発を防ぐにはどうすればいいですか?
場所に合わせた対策が必要です。換気口なら機能を妨げないネット、建物の隙間なら適切な封鎖、庭木なら剪定などが考えられます。過去の営巣場所を春から確認することも大切です。
まとめ
スズメバチやアシナガバチの古い巣は、基本的に翌年そのまま再利用されません。そのため、「古い巣を残していると、その巣へ翌年また蜂が戻って住む」という理解は正確ではありません。
一方で、同じ場所へ新しい巣が作られることはあります。実際に沼津市では数年前と同じ換気口、御殿場では約10年前と同じ軒下に新しい巣が作られていました。重要なのは古い巣ではなく、蜂が巣を作りやすい環境が残っているかどうかです。
古い巣を見つけたら、「撤去すれば再発しない」と考えるのではなく、その周辺も確認してみてください。侵入口、建物の隙間、茂った庭木、雨風を避けやすい場所など、営巣につながる条件を確認し、過去に巣ができた場所は翌春から時々見る。この考え方が再発を早く見つけるために役立ちます。
