伊東市にある築80年以上の古民家民泊から、コガタスズメバチの巣を駆除してほしいとのご依頼をいただきました。当初は軒下にある一つの巣についてのご相談でしたが、建物の周囲を確認したところ、最終的にスズメバチの巣は3個見つかりました。
民泊施設では、宿泊されるお客様が建物の周囲を歩いたり、軒下で過ごしたりすることがあります。そのため、見えている一つだけを処理するのではなく、ほかにも巣がないかを確認することが重要です。今回は、お客様が戻られる前に3個すべての巣を撤去し、建物全体へ忌避剤を散布しました。
今回の現場
今回のご相談は、「民泊施設なので、お客様の安全を確保できていないことが不安」という内容でした。最初に確認されていたのは一つのコガタスズメバチの巣で、宿泊者が利用する建物の軒下に作られていました。
現場へ到着すると、築80年以上とは思えないほど雰囲気のある古民家でした。昔ながらの木造部分が残されており、建物としてはとても魅力的です。一方で、軒下や木材の継ぎ目など、蜂が巣を作りやすい場所も多く見られました。
まず、ご指定いただいた巣を確認しました。中型のコガタスズメバチの巣で、すでに働き蜂が出入りしている状態です。民泊施設という用途を考えると、宿泊者が知らずに近づく可能性があるため、早めに対応した方がよい位置でした。
ただ、現場全体を見たときに、一つだけとは限らないと感じました。古い木造住宅は軒の形が複雑で、雨風を避けられる場所が複数あります。そこで、最初の巣だけで作業を終えず、建物の周囲を一通り確認しました。
その結果、2階の軒下に一つ、1階の軒下に二つ、合計3個のコガタスズメバチの巣が見つかりました。当初の依頼は一つでしたので、残りの二つは周囲を確認しなければ見落としていた可能性があります。
古民家は軒が深く、下から見上げても巣が見えにくい部分があります。特に2階の軒下は地上から距離があり、角度によっては蜂が出入りしていても気づきにくい場所です。現場でよく見るケースですが、一つ巣を見つけたときは、同じような軒下や屋根の重なりも確認する必要があります。
作業では、2階の巣に対してはしごを使用し、地上から距離のある場所にはロングノズルを使いました。巣の位置と蜂の出入りを確認しながら、周囲へ蜂を散らさないように順番に対応しています。
1階軒下の二つについても、蜂の動きを見ながら速やかに駆除しました。3個すべての巣を取り除いた後、周囲に戻ってくる蜂がいないかを確認し、建物全体へ忌避剤を散布して作業を完了しました。
今回は、お客様が施設へ戻られる前にすべての作業を終えられました。民泊施設では、宿泊者が蜂の存在を知らないまま近づくことが一番の問題になります。見えていた一つだけでなく、周囲の二つまで発見できたことが、今回の現場では特に重要だったと思います。
なお、建物周辺にはクマバチが利用している場所も確認しました。ただし、今回はご予算との兼ね合いから、危険性と緊急性を考慮し、コガタスズメバチの3巣を優先して駆除することになりました。
なぜ古民家の軒下に3個も巣ができたのか
今回の建物では、築80年以上の古民家部分に加えて、過去に一部改修された場所がありました。現場を確認すると、その改修に使われた木材は比較的柔らかく、経年による傷みも見られました。
コガタスズメバチは、軒下や枝の下など、雨を避けながら周囲を見渡せる場所に巣を作ります。今回の建物には、深い軒、木材の継ぎ目、傷んだ部分など、蜂にとって使いやすい条件が複数ありました。
- 雨が直接当たりにくい
- 軒が深く、巣が外から見えにくい
- 木造で巣を固定しやすい場所が多い
- 改修部分の木材に傷みが見られた
- 宿泊者がいない時間は人の気配が少ない
同じ建物で3個の巣が見つかったのは、一つの群れが3個の巣を使っていたという意味ではありません。それぞれ別の女王蜂が、似た条件の場所を選んだ可能性があります。建物全体が蜂にとって好条件だったため、複数の巣が作られたと考える方が自然です。
古民家を改修する際は、見た目だけでなく、屋外で使う木材の耐久性や傷みにくさも重要です。柔らかく傷みやすい材料が露出していると、蜂だけでなくクマバチなど別の昆虫にも利用される可能性があります。
今回のコガタスズメバチの特徴
コガタスズメバチは、住宅の軒下や庭木など、人の生活圏に近い場所へ巣を作ることがあります。名前に「コガタ」とついていますが、働き蜂が増えた巣へ不用意に近づけば、刺される可能性があります。
春は女王蜂が単独で巣を作り始め、初期巣は小さなとっくり状になります。その後、働き蜂が生まれると巣作りが分担され、巣の外側が覆われながら次第に丸い形へ成長します。
今回の3個の巣はいずれも中型で、すでに働き蜂が活動していました。特に民泊施設では、蜂に慣れていない宿泊者が巣の近くを通る可能性があります。巣の大きさだけでなく、人の動線との距離を考えて判断することが大切です。
コガタスズメバチは、巣から離れて餌を探しているときと、巣を守っているときでは反応が異なります。単独で飛んでいる蜂を見ただけで過度に恐れる必要はありませんが、特定の軒下へ何度も出入りしている場合は、近くに巣がある可能性があります。
放置するとどうなるか
今回見つかった3つの巣はいずれも中型まで成長していましたが、このまま放置していれば、さらに働き蜂が増え、宿泊されるお客様が蜂と遭遇する機会も多くなっていたと思われます。
民泊施設では、建物の周囲を散策したり、荷物を運んだり、写真を撮ったりと、宿泊者が軒下を通る場面が少なくありません。そのため、普段住んでいる住宅よりも、不特定多数の方が蜂の巣の近くを通る可能性があります。
また、今回のように一つの巣だけが問題なのではなく、同じ建物内に複数の巣ができているケースでは、一つだけ駆除しても別の巣が残ってしまいます。その結果、「駆除してもまた蜂がいる」という状況になってしまうことがあります。
蜂の巣は毎日少しずつ大きくなります。特に夏に向かう時期は働き蜂の数も増えやすく、気付いた頃には最初の数倍の規模になっていることも珍しくありません。
再発防止
今回の現場では、3つすべてのコガタスズメバチの巣を撤去したあと、建物全体へ忌避剤を散布しました。
忌避剤は「もう二度と蜂が来なくなる薬」ではありません。しかし、蜂が巣を作ろうとする場所を減らし、営巣される可能性を下げる効果が期待できます。
特に今回の建物のように築年数が古く、軒下や木材の継ぎ目が多い住宅では、一か所だけではなく建物全体を予防することが重要になります。
また、今回現場を見ていて感じたのは、建物を改修する際の素材選びも意外と大切だということです。
改修部分には比較的柔らかい木材が使用されており、経年劣化も見られました。蜂が直接木を食べるわけではありませんが、こうした傷みやすい場所は蜂やほかの昆虫が利用しやすい環境になりやすいと感じました。
古民家を維持していく場合は、見た目だけでなく耐久性や管理のしやすさも考えながら材料を選ぶことが、結果として蜂対策にもつながることがあります。
伊東市で起こりやすい理由
伊東市は海と山が近く、自然環境が豊かな地域です。庭木や森林も多く、蜂の餌となる昆虫や樹液、花も豊富にあります。
さらに近年は古民家をリノベーションして民泊として利用する建物も増えています。昔ながらの木造建築は非常に魅力がありますが、軒が深く、梁や木材が露出している部分も多いため、蜂が巣を作りやすい環境になることがあります。
今回の現場も、築80年以上の古民家という特徴と、改修部分の木材の状態が重なり、複数の女王蜂が同じ建物を選んだ可能性があると考えました。
伊東市では別荘や民泊など、常に人が生活しているわけではない建物も多くあります。そうした建物では、人の気配が少ない時間帯が長くなるため、蜂にとって営巣しやすい環境になることがあります。
今回学んだこと
今回改めて感じたのは、「一つ見つかったら建物全体を見る」という基本がとても重要だということです。
もし最初に見えていた一つだけを駆除して帰っていたら、残り二つはそのまま成長していた可能性があります。
また、古民家の改修部分に使用されていた木材が蜂にとって利用しやすい環境になっていた点も印象的でした。
建物は少し手を加えただけでも、蜂にとって住みやすくなることがあります。現場を経験するたびに、「蜂はどこを選ぶのか」という視点で建物を見ることの大切さを実感しています。
よくある質問
Q. 一つ蜂の巣を見つけたら他にもありますか?
必ずではありませんが、今回のように複数の巣が見つかることがあります。一度建物全体を確認することをおすすめします。
Q. 古民家は蜂が巣を作りやすいですか?
軒下や木材の構造が複雑なため、現代住宅より営巣場所が多い傾向があります。
Q. 民泊施設では特に注意が必要ですか?
宿泊者は建物の構造を知らずに歩くため、蜂の巣に気付かず近づいてしまう可能性があります。
Q. コガタスズメバチは攻撃的ですか?
巣から離れている時は比較的おとなしいこともありますが、巣を刺激すると防衛行動を取ります。
Q. 忌避剤だけで完全に防げますか?
予防効果は期待できますが、建物の状態や周辺環境によっては定期的な確認も必要です。
Q. 古民家を改修するときに気を付けることはありますか?
耐久性のある材料を選び、傷んだ木材を放置しないことは、建物の維持だけでなく蜂対策としても役立つ場合があります。
まとめ
今回の伊東市の現場では、最初は一つのコガタスズメバチの巣のご相談でした。しかし、建物全体を確認した結果、合計3個の巣を発見し、すべて撤去することができました。
築80年以上の古民家という魅力的な建物でしたが、改修部分の木材や深い軒下など、蜂にとって営巣しやすい条件が重なっていました。古民家や民泊施設では、見えている巣だけでなく建物全体を点検することが重要だと改めて感じた現場です。
今回はお客様がお戻りになる前に作業を終え、安全を確保したうえで忌避剤も散布しました。建物の魅力を守りながら、安心して利用していただける環境づくりのお手伝いができた現場でした。
